昨今、様々なノーコードツールが存在します。
ノーコードツールとは、その名前の通りコードを書かずにアプリやwebサイトを開発できるツールです。
>>参考:ノーコード開発とは?概要、メリット、デメリット、活用パターンについて解説
本記事では、主要なノーコードツールであるbubbleとAdaloの事例を通して、ノーコードの活用方法を考えていきたいと思います。
本記事のテーマ
【bubble、Adaloの事例から見る】アプリ開発でのノーコードツール活用方法
本記事の対象者
- ノーコードツールを活用したアプリ開発に興味がある方
- ノーコードツールでできることを具体的な事例から知りたい方
- bubble/Adaloの使い分け方を知りたい方
bubbleとAdaloの比較
具体的な事例の前に、比較表を通してbubbleとAdaloの違いを理解しましょう。
ノーコードツールの中でもツールによって特徴が全く違うので、事前に特徴を理解し、適切な活用をすることが大切です。
ざっくりした結論ですが、複雑な処理を要するWebアプリはbubble、モバイルアプリはAdaloという住み分けです。
bubble | Adalo | |
開発方法 | UIデザインから、分岐処理、ループ処理まで細かな設定が可能。それなりにIT知識が必要で学習コストはかかる印象。Adaloに比べると直感性は落ちる。 | 事前に用意されたテンプレートを、要件に応じて修正していくスタイル。bubbleと比べても直感的に操作ができる。 |
外部連携 | 無料有料含めて、900以上のプラグインあり。bubbleが何でもできると言われるのは、この外部連携の豊富さのため。 | bubbleと比較するとかなり少ない印象。ただZapierやStripeなどと連携可能なので、工夫次第で拡張性は大きい。 |
ネイティブアプリ | 開発ストアへの公開はまだサポートされていない。GoNative、Dropsourceなどのラッパーから、アプリをモバイルに変換することは一応できる。ただ、バグが多いという意見もちらほら見かける… | Adaloプラットフォームから、開発ストアに公開可能 |
有料プラン ※有料プランでは、独自ドメイン、サーバ容量、アプリ公開、共同開発、サポート範囲などの内容が変化します | Hobby:無料Personal:$29/月(年契約:$25/月)Professional:$129/月(年契約:115$/月)Production:$475/月(年契約:$529/月) | Explore Plan:無料Pro Plan:$50/月Business Plan:200$/月 |
bubbleの事例
bubbleは複雑な処理ワークフローの構築や、豊富な外部連携が可能です。
そのためスクラッチ開発と比較しても引けを取らないアプリ開発の事例が多くあります。
equina
医療施設スタッフのシフトやスケジュールの自動提案、勤怠管理、パフォーマンスチェックなどの機能があります。
注目すべきポイントは、機能改善の頻度です。多い時だと週単位での機能修正を可能としています。
GUI操作だけで機能変更をできるノーコードツールはアジャイル開発と相性がいいです。
AWARDPOOL
アメリカのe-スポーツ大会の管理アプリです。
注目すべきポイントは、機能の充実度です。
トーナメントやリーグの生成、試合のビデオ中継、チーム内の賞金・スケジュールの管理など、普通のコーディングで実現すると骨の折れる機能を実装しています。
bubbleの豊富なプラグインを組み合わせることで、プロコード並のリッチな機能を実装できることが分かる事例です。
Swiggy
インドのフードデリバリーアプリです。(UberEatsのようなアプリです)
利用するエリア毎の店舗紹介、商品の注文、支払い、配送状況確認などの機能を実装しています。
注目すべきポイントは、リソースを業務構築に注力させた点です。
アプリ開発はbubbleで素早く実装し、リソースをサプライチェーン構築に集中、自社で商品の受け取りから配送までの独自網を作り上げました。
アプリ開発にかかる工数を削減することで、プロジェクト全体のリソース配分を最適化できることは、ノーコードを活用する上で大切な視点になります。
Adaloの事例
Adaloは基本的にモバイルアプリ開発の事例になります。
事前に用意された優れたテンプレートを活用できるので、見栄えのいいUIの実装事例を見ることができます。
SmartDish
日本のイートイン事前予約&支払いアプリです。
利用するエリアの店舗紹介、来訪する店舗への予約、事前支払いなどの機能を実装しています。
注目すべきポイントは、ノーコードでMVP(Minimum Viable Product)を開発した点です。
MVPとは、顧客の課題を解決できる最低限の機能を実装したプロダクトのことです。
リリース後に徐々に機能を追加し最終系を目指すアジャイル開発に近い手法です。
このアプリはAdaloによって、着想から約2ヶ月でリリースされました。
ノーコードツールは全般的に可用性やレスポンスなど非機能面にまだ課題があります。
そのため、ユーザーが1,500名を超えたタイミングでGoogleのモバイルプラットフォームへ移行しました。
最低限の機能を短期間でノーコード開発し、その後、ユーザー数が拡大したタイミングでスクラッチ開発に移行した「ノーコードMVP開発」の好例といえます。
SPOTTO
日本のオンライン就活アプリです。
会社説明会、応募、選考など一連の就活の支援機能があります。
注目すべきポイントは、開発スピードです。
このアプリはベースとなるフレームワークを3日で完成させ、その後デザインや機能の修正を繰り返し、わずか1ヶ月でリリースに至っています。
(参照:https://tokyofreelance.jp/nocode-interview/)
実現したいことが決まっていれば短期間で開発ができて、出来上がった実物を見ながら改善していけるノーコード開発のメリットをうまく活用した事例だといえます。
また、余談ですがこのアプリは「日本初のノーコード開発されたアプリ買収」でも話題になりました。
MyCFA
レストラン向けの店舗管理アプリです。
従業員の手当、在庫トレース、クレーム管理などの機能があります。
このアプリに特出して注目すべきポイントはありません。
ただ、非IT企業のレストランがコーディングなしにIT化のアイデアを実現できた事例として、今後のノーコードの可能性を十分に示唆していると思います。
ノーコードツール活用のヒント
主要なノーコードツールであるbubbleとAdaloの事例を見てきました。
ここでノーコードでアプリ開発を検討する場合のポイントを整理します。
■活用しやすい
・個人や個人店舗レベルの業務効率を目的とした小規模開発
・低コスト、リリーススピードを重視したMVP開発
・継続的に改修を繰り返すアジャイル開発
■活用しずらい
・複雑なロジックを要する大規模な開発
・製品版になっても同じソースコードを使い続けることを前提としたMVP開発
・モバイル、Webなど複数の提供方法を前提としたアプリ開発
上記に加えて、ノーコードツールでコーディング工数が削減された分を、その他の主要業務に分配できるようになる点も重要な視点です。
また、非エンジニアの業務部門や店舗経営者がアイデアを自らノーコードで開発・運用することが可能になります。場合によっては社外リリースも可能になりえます。
ビジネスの課題やニーズに一番近いビジネス層の方々が、ノーコードという解決方法を持つことは一つのDX戦略と言えるのではないでしょうか。
まとめ
ノーコードツールは素早く、低コストでアプリを開発することができます。
その特徴のため、MVPやアジャイル開発などとの相性がいいことが事例でも分かります。
また、コーディングに比べると学習コストが低いため非エンジニアの方でも習得は十分可能です。非IT人材/部門の内製化の手段として検討してもいいかもしれません。
ただ現時点では、拡張性、可用性、レスポンスなどでまだ多くの課題を残していることは否めません。
案件の目的や特徴を見極めて、適切なノーコードの活用を検討しましょう。
アプリ開発の選択肢にノーコードツールはいかがですか?
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案件によっては、今回ご紹介したノーコードツールを選択肢に入れたご提案も可能です。
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