最近、ノーコード開発・ローコード開発というキーワードがよく聞かれるようになりました。さまざまなIT関連のメディアで特集が組まれ、国産ツールのテレビCMを見かけることもあります。
目にする機会も多くなったため「システムやアプリを簡単に開発できること」ということは知っていても、具体的にどんなことに活用できるのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ノーコード開発・ローコード開発それぞれの違い、メリット、自社のプロジェクトに導入するときの注意点について解説します。
ノーコード開発・ローコード開発とは
ノーコード開発・ローコード開発の定義はそれぞれ以下の通りです。
ノーコード開発(No-Code)
プログラミングすることなくWebサイトやアプリケーションを開発すること
ローコード開発(Low-Code)
必要最小限のプログラミングでWebサイトやアプリケーションを開発すること
共通している「コード」とは、プログラミングコードを意味します。
従来の開発(スクラッチ開発)では、Webサイトやアプリケーションを構築するときに、この「コード」を使って必要な機能やデザインを一つずつ書いていく必要があります。
ノーコード開発・ローコード開発では「コードを書く」という工程をなくす(No)あるいは少なく(Low)することで、開発にかかる工数を大幅に削減し、プロジェクト完了までの期間を短縮することができます。
ノーコード開発・ローコード開発の違い
ノーコード開発・ローコード開発の違いをわかりやすくまとめると以下の表のようになります。
※参照:https://project.nikkeibp.co.jp/jpgciof/atcl/19/00003/00008/
※プロコード(Pro -Code)とはノーコード開発・ローコード開発と対比させたときのスクラッチ開発の呼称のことです。
ノーコード開発・ローコード開発では、専用のツールを用います。
ノーコード開発ツールには、Webサイトやアプリケーションを開発するのに必要な機能がパーツやテンプレートとして用意されていて、GUIでドラッグ&ドロップし組み合わせることで、完成のイメージを見ながら開発することができる、というものです。
「コード」を全く使わないので、開発の知識がなくてもツールの使い方や提供されている機能を理解していれば誰でも簡単に開発ができます。ただし、ツールで提供されいてる機能以外のことはできませんのでローコード開発より出来ることが限定されます。
ローコード開発ツールでも同様に用意されたパーツやテンプレートで開発をすることができますが、必要に応じて提供されている機能では不足する部分について実際にソースコードを記述することができます。
「コード」の活用も必要な場面が出てくることがありますので、ある程度開発に関する専門知識が必要になります。ただし、機能として提供されている以外の部分も手動で作り込むことが出来るのでノーコード開発よりも柔軟な開発が可能です。
ノーコード開発・ローコード開発のメリット
ノーコード開発・ローコード開発どちらにも共通するメリットは、「開発工数の削減」ですが、他にもそれぞれ以下のようなメリットがあります。
ノーコード開発のメリット
ノーコード開発ツールで提供されているパーツやテンプレートは、機能としてリリースされた時点で動作についてのテストが完了しているため、ツールに搭載されている機能を使って作られたシステムやアプリケーションであれば、バグや不具合が発生する可能性が非常に低いです。
開発が完了した後も機能そのものへの修正はほとんど必要ないため、システムテスト工程も短縮することができます。
ローコード開発のメリット
ローコード開発はノーコード開発と違ってコードの記述が可能なため、ユーザー側で自由に機能を実装することができます。この拡張性・汎用性の高さがあることで、企業独自の運用や、サービスの特徴を出すためのロジックなどを自在に組み込む事ができます。
そのため、従来のプログラミングでできる事であれば実現可能で、利用用途も限定されません。
ノーコード開発・ローコード開発が向いているプロジェクト
ノーコード開発・ローコード開発は開発の工数を削減し、素早くシステムやアプリケーションを構築することができますが、0からプログラミングを行う開発と比較するとできることは限られます。特にノーコード開発の場合はできることがツールで提供されている機能に完全に依存します。
そのため、新規事業でのMVPやプロトタイプの開発、事業部門内の小規模でシンプルなシステム開発には有効ですが、全社で利用する基幹システムのように規模の大きな開発や、極端に複雑なロジックを搭載したシステムの開発には向かないこともあるでしょう。
別の記事で、新規事業にノーコード開発を用いる場合のメリットや注意点をご紹介していますので、合わせてご覧ください。
新規事業開発にノーコード開発を活用するメリットとは?具体的な活用のタイミングと新規事業を検証するためのステップ
ノーコード開発・ローコード開発を導入する際の検討事項
ノーコード開発・ローコード開発のメリットを最大限享受するためには導入前に「作りたいものに必要な機能を実現できるか」について検討しておく必要があります。
特にノーコード開発の場合はできることが使用するツールの機能に限定されます。
作ろうとしているシステムやアプリケーションで求める機能を満たしてくれるかどうか、導入前にきちんと整理して、網羅できるツールであるかを確認する必要があります。
複雑なロジックでもノーコード開発ツールで提供されている機能の組み合わせることで大抵は実現可能ですが、これまでにないような機能やロジックを求めるのであれば、不足した機能をプログラミングで補えるローコード開発の方が適している場合もあります。
ローコード開発を検討する場合でも、可能な限り使用するツールで提供されている機能で開発できるものを選ぶと良いでしょう。
まとめ
ノーコード開発は専門知識がなくても誰でも簡単に完成度の高いシステムやアプリケーションの開発ができ、その後の運用や改善も(ツールで提供されている機能に限定される面はありますが)素早く行うことができます。
ローコード開発はある程度の開発知識が求められますが、開発工数を削減しつつ、ツールの機能に依存せず、柔軟に開発することが可能です。
ノーコード開発・ローコード開発は開発工数を削減し、スピーディーにシステムやアプリケーションを構築することができますが、できることがツールで提供されている機能に依存します。そのため、新規事業でのMVP開発やプロトタイプ開発、事業部門内の小規模でシンプルなシステム開発には有効ですが、基幹システムのように規模の大きな開発や、独自の複雑なロジックを搭載したシステムの開発には向きません。
ノーコード開発・ローコード開発のメリットを最大限享受しながら導入するには、「作りたいものに必要な機能を実現できるか」事前に検討しておく必要があります。
ノーコード開発・ローコード開発を使った新規事業開発はNCDCにご相談ください
NCDCでは、独自のメソッドを使った新規事業立ち上げサポート、UXデザインを重視しながらのプロダクト開発、リーン・スタートアップ、アジャイル開発の経験も豊富なため、新規事業開発プロジェクトを包括的にサポートする事ができます。
また、ノーコード開発ツール選定などもお手伝いも可能です。
新規事業開発、MVPやプロトタイプの検証をご検討の際にはぜひご相談ください。
コメント